果て紙

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別れを告げてから始めて君の家にきた。

別れを告げたのは、僕からだっただろうか。いや君からだったかもしれない。でも、僕からかもしれない。

つまりは、そういう感じで別れが決まった。

僕が戻るのを知っていたかのように出迎えてくれたのは、寝具の上の湿ったティッシュたち。

重々しく湿ったティッシュたち。

ティッシュに触れると、やっぱりティッシュは湿ってて、湿ってた。

湿ってたとしか言いようのないくらいの湿りとあざとさを感じた。

もしも、このティッシュの重みに対して、僕が少しでも同情していたら、変わったのかな。

用を済ませてから何故だか僕はそこで自慰行為をし出して、果てて濡れたティッシュを使った。

あざとく残る濡れたティッシュは僕の精子とこんがらがって、まるで僕たちみたいな関係だな、と思ってもう二度とここには来ないと決めた。
恋愛
公開:18/12/16 03:48

こーり( トーキョー )

ショートショート小説を書いています。

歪んで綺麗な、いびつで綺麗な、泥臭くて綺麗な物が好きです。
ひねくれているって思っているってことはきっとまっすぐで憧れているだけなんだと思う。

純度の高い文章で、等身大でいきます。

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