四畳半漂流記

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大学生の兄は引きこもりだ。だけど僕だけ部屋に入れるのは2人だけの秘密だ。
「お兄ちゃん、入っていい?」
昼間は駄目でも、深夜だけは入れてくれた。怖がりで、夜が苦手だった僕に兄はよく宇宙の話をしてくれた。その知識がゲームによるものだと今は知っているけど、兄が物知りなのには変わりなかった。僕が隣にいても、電気を消して横になっても兄はゲームを繋げている。でも僕は不愉快じゃない。兄とゲームを一緒に見るのは好きだから。
「宇宙船みたいだね」
待機時間中に僕がそう声を掛けた。暗い部屋に、電源ランプやLEDが暗闇に瞬いていた。僕らは宇宙を旅している。目的地を探してる。僕も兄と同じで、この先不安で救難信号を出している。
ある日地域支援の人が家に来た。何故か僕を知っていた。
「兄さんが、君から力をもらってるって」
メールでそう兄が書いていたそうだ。僕が何をしただろう。勇気を出してSOSを発信した兄は強い。
青春
公開:18/12/17 22:50
家族 4本目

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

こちらで写真を紹介、ハガキにと販売しております!
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