最後の祈り

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最後に、最後に僕が見たのは、彼女の笑顔。
少し名残惜しそうな顔を見て、また明日すぐに会えるのに、と思った。
手を振って、その笑顔から視線を外し、歩き出した時、何かすごい音がした。
咄嗟に振り向こうとしたけれど、できなかった。
次の瞬間にはもう、僕の意識はなかったから。
落ちていくような真っ暗な中で、今見たばかりの彼女の笑顔が鮮明に浮かび上がった、気がする。
また明日じゃなくて、さようならと言うべきだったのか?
明日があると思っていたから、それしか言えなかった。
どうかあの笑顔が消えていませんように。それだけを切に願う。
その他
公開:18/12/17 22:03

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