手ぬぐい地蔵

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さて、一方の傘地蔵ならぬ手拭い地蔵。餅やら酒やら整える仲間の地蔵を尻目に雪の中瞑想を続けた。
今日は手拭いを、先日は賽銭を、先週は花を、先月はおはぎを。今までもお供え物は沢山貰った。それらは幼く死んだ子の供養のため、子らの代わりに功徳を積み、それが満ち足りた時子らは賽の河原を渡り成仏できるのだ。我の功徳が足りないが故に成仏できない子供がいる。仲間たちは傘の供養が故に、今夜それぞれ子を迎えに行く。
すっかり荷物を整えた彼ら、姿勢を正すと瞑想に入った。子らが成仏してゆく、我の子も。ふと足元を見ると彼らの荷物が私を囲むように置かれている。まるでお供え物のように。
我は、行かなくては、賽の河原に迎えに行かなくてはならなくなった。ちらりと仲間の地蔵を見る。我も彼らの寄り道に付き合うことにしよう。
大晦日の月のない雪の夜道を極楽浄土へと歩く。この手拭いは子への手土産、残り物には福があるのだ。
ファンタジー
公開:18/12/17 20:57
更新:19/07/27 20:11
童話 傘地蔵外伝

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