戦う毛根

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過疎化が進んだこの町に、救世主が舞い降りた。
彼の名は育毛剤「ボンバイエ」。
毛根たちに平手打ちで活力を注入してくれる、毛根界の生きるレジェンドだ。

彼は活力注入のため俺と親父の前に立つ。

『元気ですか!』
「「元気です!」」

そう言うが、栄養失調で親父の体は白く細くなっていた。地面を支える足がおぼつかない。

『よし、それじゃいくぞぉ!』

バシィ!
「ぐほぉ」
バシーン!
「ぐはぁ」

俺はなんとか耐えた。
親父はーー!
注入に耐えきれなかった親父の体は大地を離れ、ひらひらと揺れながら宙を泳いでいた。

「親父ぃ!」

親父の体を捕まえる。表情は穏やかだった。

『強い親父だったな』
「……はい!ありがとうございました」

俺は親父の体を抱き締めると、頭に巻き、ハチマキにした。

俺は決意した。必ずこの大地で生き続けると。
アート姉ちゃんが仲間を連れてきてくれるその日までーー
青春
公開:18/12/16 23:18
更新:18/12/16 23:22

イチフジ( 地球 )

マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。

100 サクラ

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