毛色

毛色の変わった奴と言うなら、僕の知り合いがそうだ。
いつも周りから浮いてて、始終ぶつぶつ呟きつつ、白衣に手を突っ込み、眠そうに半目を伏せる。
まあ当然、みんな奴を無視する。素通りする。僕も放っときたいのは山々だが、僕の左は奴の定位置になってて、延々ヒタヒタ付きまとって来やがる。
『●●配置が●●●で落雷が●生し●●に●●の場合●●●３●人』
うざい。半分以上解読不能。
冗談じゃない、こんな変り種。この寒空に着流し。妙な団子頭。おまけに影が薄過ぎて、鏡にも映らないと来たもんだ。
『●２月１７●●６：０●頃火●●●。●●●断』

はいはい。とりあえず明日夕方、雷がここに直撃。で、火災発生。電線切れて大事故ね。
放っときたいのは山々だが、死傷者２桁は寝覚めが悪い。

どうせ誰も信じちゃくれない。手前で非常ベル鳴らして、警察にニセ通報か。
……あぁ、何だって、菩薩の守護霊なんか持っちまったかな。