リンゴ救出劇

10
11

「全リンゴ国民ニ告グ、風ツヨシ、備エ充分ニスベシ」大地を通り根から維管束を通って伝わった情報に、(備えってなんじゃーい)と軽く突っ込んどいた。

や、風、もろに当たるんすけど。備えって何すればいーの?

そのうち風が強くなり、危ね、と何回思ったもんか。他の兄弟も1個、また1個と落ちる。あー、終わりだ。花からの成長過程を走馬灯のように思い出してると、オレを寝床にしてた青虫がいきなりムックリ顔だした。

「きーっ、ここでお前に落ちてもらっちゃ困るんだよ」
「んなこと言ったって、しょうがねーだろ。くはっ、風が…。ごめん、オレもう逝くわ」
「させるか!ちょーおんぱー!」
「は?お前なにやって」途中で声が途切れたのも分かってくれ。あいつ、いきなり巨大な蝶になって、ばっさばっさと、強風を弾き返したんだ!こいつやべぇ!

「てか音波ってなんだよ、蝶言いたかっただけだろ」
「たしかにな!でも、そこかよ!」
公開:18/12/14 00:00
更新:18/12/14 09:02
写真はリンゴの原種と言われる オオウラジロノキの実です

綿津実

自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。

104.がおー

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容