IT大浴場

赤外線で利用者の体温をモニタリングし、のぼせないように配慮している。浴槽内の湯温や浴室内の室温を管理していた。
銭湯の絵の代わりに設置されていた巨大なスクリーン。
湿度に強く、曇らないコーティングが施されていた。

大自然の画像から、磨りガラスに変わった。
磨りガラスの向こうに見える、肌色のシルエット。滴り落ちる水の音から、シャワーを浴びているようだ。
ガラス越しにでもわかる、豊満な肢体。
お酒をちびりちびりとやりながら、浮かれる役員たち。
キュッと音がなる。
蛇口が閉められたのか、シャワーの音が止まった。
スーッと引き戸が開く。一糸纏わぬ姿で若い女が出てくる！
最初に見えたのは顔だった。愛人にしたいランキング1位、総務部の花、橋下まなみさんだ。笑みを浮かべて、出てくる。

流れるお湯以外に音を発するものはない。適切な体温を保たれただけの、ものいわぬ人々が発見されるのは翌日のことだった。