色褪せない家族

冷たい空気が肌を刺すように私を包む。
口から白い吐息を漏らし、私は間近に控えた卒業式を思い出し憂鬱な気分になる。
…もうすぐ皆と離れ離れになるなんて嫌だな。
あの日、入寮した時からずっと一緒に過ごしてきた。
皆と一緒に笑って、喧嘩して。会話に意味なんていらないの。
楽しくて楽しくて、思えばあっという間だった。
家族って、きっとこういう温かな気持ちになれる存在のことを言うのかしら。
だから信じたくない。お別れなんて。
私は夢を見る。永遠に続く日常を。この寮で皆との日々を過ごしていたい。

そして私は手に入れた。
永遠になれる方法を。何物にも染められない魔法。
マッチ売りの少女の夢はあの夜、永遠の物となった。だから私もマッチを一本擦りだす。
愛しいものを全て真っ黒に染めよう。何物にも染まらない黒。
さあ、私の夢よ！炎よ！みんなみんな染めてしまって。

そうして私達は色褪せない家族になるの。