子ブタの貯金箱

「観念しろ子ブタくん」
「く、捕まってたまるか」
　招きネコが、子ブタの貯金箱を追い詰めた。
　今朝、家から子ブタが逃げ出したのだが、鼻の穴から小銭をこぼしながら逃げたおかげで、招きネコのやつにそれを辿らせることができた。
　ネコが子ブタに跳びかかる！　が、子ブタもさっと身をかわす。子ブタの鼻の穴から五円玉がはんぶん顔を出して、やっぱり引っ込んだりする。小銭を落としながら身軽になった子ブタはすばしっこくて、ネコでもなかなか捕らえることができない。
　ネコと子ブタがジャングルジムの周りをぐるぐる走り回る。何周も何周もぐるぐるするうちに、辺りが淡い黄色のどろどろだらけになってしまった。気づくと子ブタが消えていた。
「ご主人様！　バターです！　子ブタのやつバターになっちまった！　お金も！」
「ああ！　しまった！　トラの子だった！」