14
17

「完璧な人なんていないよ」
彼女の言葉に、目から鱗が落ちた。目から鱗とはこういう事かと感動した。
その頃、僕には憧れてる女性がいた。その人に釣り合うために、もっと自分を磨いて、自信をつけて、完璧な男になろう。そう思った数ヶ月後、その人に恋人が出来た。結局僕は完璧な男になんてなれなかった。
「私なんてダメな所ばっかりだし」
陽気に笑う彼女と話してるうちに、なんでそうなったのか、僕と彼女はデートする事になった。
当日、待ち合わせ場所に現れた彼女は僕を見て満足そうに頷いた。
「オシャレしてきた?」
…図星だった。
「それがわかるから嬉しい。完璧なんて無理だよ。少し背伸びするぐらいで十分。君が私のために背伸びしてくれた事が私は嬉しい」
「そっか」
そんな簡単な事でよかったのか。
ふと、彼女のヒールがいつもより高い事に気がついた。

ひょっとしたら彼女も…

たったそれだけで、
僕は彼女に恋をした。
恋愛
公開:18/12/11 16:43
更新:18/12/11 16:55

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容