ハウスキーパー

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彼女の家にいくと、彼女のお父さんが玄関の前にいた。
わざわざ出迎えを?ゴールキーパーの格好だけど。
『初めまして』
僕が近づくと顔面をパンチングされ、その場に倒れた。駆けつける彼女。
「必ず、決めて!」
決める?
『あの、これ』
手土産を渡すと受けとってもらえた。
やった!と思った瞬間、前線へと蹴り飛ばされた。
彼女のお母さんがママチャリで追う。見事な連携だ。
「この家の敷居は跨がせない」
そういうことか。よしっ。
フェイントをかけ、お父さんの逆をつく。
決まった!
が、腕が伸びてきて、僕は玄関ポストに弾かれた。
ここでホイッスル!審判姿のおじいちゃんだ。いい位置からのリスタート。
『娘さんを幸せにします!』
真正面からぶつかった。受け止められる。構わない。僕らは玄関に倒れこんだ。
「母さん、お茶だ」
お父さんは笑っていた。
もうすぐ、10人家族のここが僕のホーム。
イレブンに加わるんだ。
その他
公開:18/12/11 12:45

そるとばたあ( 神奈川 )

★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!

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