働きたい農家の家族

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「ママ、僕も働きたいよ」
「駄目よ、ボクちゃん。あなたは働かなくていいの」
「なんで?」
「ボクちゃん、見て、愚民どもを。わたしたちを崇めて、そしてお金まで落としていくのよ」
「わあ、愚民どもが、僕たちを見ているよ」

『北オーストリアの農家』を眺めていた僕は、視線を感じた。
馬鹿にされたような気がして、無性に腹が立つ。
ポケットに手を入れると指に当たったのは数枚の硬貨。
僕はつかんだ硬貨を絵画に向かって思いっきり投げた。
投げた硬貨が絵画に吸い込まれていく。

「いたっ」
「ボクちゃん、大丈夫?」
「何かが飛んできたよ」
「野蛮な愚民どもね。硬貨を投げつけてきたわ。こんなちっぽけな。落とすなら札束を落としなさい。分かっていない。愚民は愚民ね。嫌になるわ」
「僕は愚民に生かされているの?」
「愚民は愚民よ。私たちが生かしてあげてるの。私たちが上よ」
「僕は働かなくていいの?」
「いいのよ」
その他
公開:18/12/10 22:16
北オーストリアの農家 働きたい会社 家族 キマイラ

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
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