廃液

川沿いに面した工場から黒煙が上がり、錆び付いた配管から廃液が川に流れ込んでいた。
ドロドロとした油状の液体は、アブラハヤやアユ、アユカイといった川魚達を次々と殺していった。
液体の成分には、一億超分の水素が63％、酸素が26％含まれていた。

工場内には、びっしりと巨大な水槽が設置されている。
執行役が手枷、足枷をはめた若い二十代の男性を水槽のところへと引き連れていく。

水槽の中には、アルカリ性の液体が入っており、通常は、人間の体が液体に溶けた後、骨が残る仕組みになっているが、この秘密人間殺戮工場では、炭酸カルシウムを溶かす成分も合成されており、この水槽に落ちたら、現世に存在していた証拠すらも喪失するのであった。

執行役は男性を水槽の中へと突き落とす。
男性は胸に秘めた遺言と共に溶かされていくのであった。