固定電話の秘密

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携帯をなくしたぼくは、久しぶりに友達の家の固定電話に電話をかけてみた。

プルルルル・・・。ガチャ。

「はい田中です」

出たのは若い女性らしかった。

誰だろう。妹やお姉さんはいなかった思ったが。


「もしもし、Kくんはいらっしゃいますか?」

「ああ、Yくんね。ごめんなさいいまちょっと遊びに出てるみたいで」

「じゃあ伝言をお願いできますか」

「ごめんね、ちょっとKとは話せなくて」


ケンカでもしているんだろうか。それではと言って受話器をおろした。

お母さんにしては声が若すぎるし、親戚か誰かだろうか。

伝言を頼めないんでは仕方ない。ぼくは別の友達に電話をかけ始めた。


その頃若い女性は「ふぅ」とため息をついて無事に一仕事終えた安堵に包まれていた。


後ろ足であごの下を掻いてすくっと立ち上がると、しっぽを振りながら4本足で軽快に小屋へもどっていった。
ミステリー・推理
公開:18/12/09 11:28
更新:18/12/09 11:51

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