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同じ所で、いつも同じ影を見る。通り過ぎる自分の右肩越しに。
ずっと羨ましかった親友と、別れた彼女とが夫婦になって、そこに私が遊びに行った折、彼女に復縁を迫った後、ずぶ濡れで歩く駐車場までの道だ。
肩越しの影は、のっぺらぼうだった。八本指に鎌を握り、黒いマントをたなびかせ、裂けた顔から血を滴らせて追ってくる。夕暮れの路地を死に物狂いで走るシルエットは一つ… 奴は消えた。
直後、背後からの風きり音。背中がぞくりとする。慌てて車に乗り込む。ついてくる車をかわす。日は沈まない。
窓を全開にして、右肘を窓枠にかけて運転する癖がある。変電所の脇道を時速80キロで走り抜けようとすると、再び風きり音が響き、私の右肘に鷹が止まった。鷹は風圧をものともせず、爪を肘に食い込ませて、私の目を狙っている。何も分からなくなる。
その夜「特売品七割引」の札を貼られた私の舌が、ワゴンに放置されている夢を見た。
ずっと羨ましかった親友と、別れた彼女とが夫婦になって、そこに私が遊びに行った折、彼女に復縁を迫った後、ずぶ濡れで歩く駐車場までの道だ。
肩越しの影は、のっぺらぼうだった。八本指に鎌を握り、黒いマントをたなびかせ、裂けた顔から血を滴らせて追ってくる。夕暮れの路地を死に物狂いで走るシルエットは一つ… 奴は消えた。
直後、背後からの風きり音。背中がぞくりとする。慌てて車に乗り込む。ついてくる車をかわす。日は沈まない。
窓を全開にして、右肘を窓枠にかけて運転する癖がある。変電所の脇道を時速80キロで走り抜けようとすると、再び風きり音が響き、私の右肘に鷹が止まった。鷹は風圧をものともせず、爪を肘に食い込ませて、私の目を狙っている。何も分からなくなる。
その夜「特売品七割引」の札を貼られた私の舌が、ワゴンに放置されている夢を見た。
その他
公開:18/12/09 09:59
更新:18/12/09 10:29
更新:18/12/09 10:29
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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