幸せなクリスマス

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子供たちが飾り付けをしたオーナメントが、ツリーにつるされている。台所からは、夕食の準備をする妻と子供たちの楽しげな声。このなんでもない時間が、とても幸せだ。

「いただきまーす!」

子供たちの声が弾ける。僕と妻は顔を見合わせて笑う。
フライドチキン、シーザーサラダ、手巻き寿司。すごく豪華なわけではないが、平凡な家庭の幸せなクリスマス。

食事を終えて、部屋の掛時計が九時を告げる。そのときだった。

妻と子供たちの表情が色を失う。立ち上がり、そそくさと出掛ける準備をはじめた。あっけにとられているうちに、三人が玄関に向かう。

(待ってくれ)

言葉が出てこなかった。慌てて三人を追って玄関に向かう。こちらを向いた妻が、僕が来るのを待っていた。

「代金は、5時間で6万円になります」

無表情の妻、いや、先日僕が依頼した家族代行業者に雇われた劇団員が、請求書を渡してきた。
ミステリー・推理
公開:18/12/10 21:05

すちふくろう( 茨城 )

茨城で小説書いてます!

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