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鯖のライトアップがはじまった。
冬の初めは鯖がおいしいから、街は鯖のイルミネーションで彩られる。鯖の背の青が街路樹をてらてら光らせて、恋人たちは身を寄せあって行き過ぎる。
禅寺の小僧蒼海は、住職の使いでそんな街を歩いていた。
恋人たちは口々に、ゴマ鯖より真鯖よねとか、鯖イブは一緒にいようねなどと楽しそうだ。
私は魚を食べないから鯖の味は知らない。ただ、街のあちこちで見る鯖はなんて美しいのだろう。
太陽の光をうけた海面のきらめきをそのまま写し取ったような背の色に揺らめく紋様は誰の仕業か。
お寺では、鯖の日も鯖イブも、いつも通りの修行をするだけだ。お経をあげて掃除をする。私には学校もあるし、帰ればまた薪割りなどの作務がある。
私の名は蒼い海。
何かに憧れるわけではないけれど、美しいものはうれしい。私もそうありたいと思うから。
鯖の街。今日も恋人たちは身を寄せあって食べ過ぎる。
公開:18/12/07 11:53
更新:18/12/23 12:43

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