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家族で久しぶりの団欒の日。

テーブル真ん中に置かれた鍋をつつきながら湯気の向こうに見える母さんの皺が例年より増えた。

大人になって会社、結婚、家族など話す内容は変われど、好きなものを取っていく皆の箸使いは変わらない。

兄貴が笑う。弟が笑う。母さんが笑う。

死んだ父さんはこの世にはいないけれど、あの世でみんなと一緒に鍋をつついているのだろう。

ふと皆が幼く見えた。母さんは皺がなく、兄弟は丸刈り頭のやんちゃ坊主。父さんもお酒を飲んで、頬が少し赤くなっている。

湯気で思い出が深まっていく。
その瞬間パチっと音が弾けた。

ハッとし、周りを見回すといつもの家族の笑顔が見える。後年、いつも集まる度に箸をつついて鍋を食べ、箸の数が減っても、幸せでいたい。
その他
公開:18/12/07 09:04

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