冷蔵庫の秘密

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真夜中にトイレに行くと、冷蔵庫から明かりが漏れていた。中を覗き込むと、そこはいつもの冷蔵庫じゃなくて、氷と森の世界が広がっていた。そして中では、二人の小人が鋸を引っ張りあって氷を削っていた。僕はよくみようと冷蔵庫に近づいて中に入っていった。小人が引き合う度に氷が舞い散り、虹色に降り積もる。見惚れていたら、間違えて扉を閉めてしまった。
「冷蔵庫は内側から開けられない!」
僕は青ざめて泣いていると、それに気づいた小人が近づいて、僕に笑いかけた。小人二人が切り株に立ち、手を取りワルツを踊る。すると、いきなり底が抜けた。真っ暗な空間に、宝石みたいな雪と僕がフワフワと舞う。見上げると雲の上で小人は踊ってるのが見えた。
気がつくと僕は布団にいた。天井から雪の結晶が一つ落ちて、ひらひら消えていった。
ーートイレに行きたい。
途中冷蔵庫を開けてみたけど、いつもの冷蔵庫だった。
窓の外で、初雪が降っていた。
ファンタジー
公開:18/12/07 08:52

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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