共鳴

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魔女狩りは都合の良い排除法だった。僕たちは引き離され、東西南北に散った。川に落ち、生を許されない中で生きた。家族とバラバラになった僕は、いつしか同じ境遇の仲間に出会い、共する生活が始まった。1つ違うのは、僕以外、仲間は皆人間だった事だ。

オカリナを教わり、ちょっとした大道芸で日銭を得た。町を渡り、そのうち僕らは見せ物の中で互いの感情を知った。悲しい、楽しい、怒り、それは共鳴した。同じ目線で日々を見つめ、闇を抱え光を見出し、共にあった。

ある日荒野で知らない魔女に会った。彼女の眼光は鋭かった。
「一緒に行こう。そして復讐してやるのさ」
「…僕は行かない。ここで生きてみたいんだ。」
「…再び会った時は、迷わずお前を殺すかも知れないぞ?」
その言葉に、僕は頷いた。

「お兄ちゃん、あの人誰?」魔女の後ろ姿を見送り、5歳のミーシャが尋ねた。「僕の友達だよ」と呟いた声は、思ったよりも悲しかった。
公開:18/12/07 23:02
更新:18/12/09 08:17

綿津実

自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。

110.泡顔

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