他人の幸せよりも個人の幸せ

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会社員は、飲み終えた後、同僚と別れ、一人帰路についていた。
道路に身を乗り出し、手を挙げタクシーをとめた。

男性は、車窓から移り変わる景色を眺めていた。
速度についていけなくなった景色は灰色の世界に置いてきぼりにされ、干渉した光に取り込まれていった。

私はタクシーの運転手に遠回りをしてから、自宅まで向かってくれと頼んだ。
タクシーの運転手は陽気な返事をし、了承した。

しかし、少しばかりの遠回りを頼んだはずなのに、タクシーの速度は緩まることなくいつまでも走り続けた。
海岸沿いを走り、山道に入る。
車内の酸素が薄れ、私は意識を失った。

運転手は、私がドナーであることを知っていた。
ダッシュボードの上には病床で生命維持装置をつけて病気と闘っている妻の写真が飾られていた。
良心に背きながらも運転をし続ける。
彼が目を覚ました時には、妻が元気になっているはず・・・
ミステリー・推理
公開:18/12/07 23:02

神代博志( グスク )









 

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