あいでんてぃてぃ

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マリさんは泥棒だ。
「あなたが欲しいのは、ライオンのたてがみですか?それともシマウマの模様ですか?」
「僕が欲しいのはキリンのツノです」
マリさんが帰ってきた。左手にライオンのタテガミ、右手にシマウマの模様を持って。僕へのプレゼントらしい。何で贈り物にそれを選んだんだろう。
マリさんはなんでも盗める。
だけど、アイデンティティに関わるものはとってはいけない。模様を盗まれたシマウマは真っ黒になってしまったらしい。タテガミを失った雄ライオンも気の毒だ。
そして、僕は手渡された白い縞模様をどうしていいかわからない。家の前の道路に敷いて、自分専用のもの横断歩道を作ろうか。それとも黒地のジャケットをゼブラ柄にするか。ライオンのタテガミは、冬に首回りにかければいいんだろうか。
僕はマリさんに、 クラゲのぬいぐるみをあげた。マリさんは怪訝な顔をして
「これ、なにするもの?」
と訊いてきた。
ファンタジー
公開:18/12/07 22:23

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