僕の家族

14
11

ある朝起きると、お父さん達がいなくなっていた。
ご飯の用意はしてくれてたからとりあえずそれを食べた。誰もいない部屋は変に静かだった。
何も言わずにどこかに行ってしまうのは初めてだ。だから不安だ。けれど、きっと夕方になったら帰ってくる。信じて僕は二度寝した。
夕方になっても帰ってこない。インターホンが鳴った。慌てて駆け寄ってドアを開ける。知らない男がいた。
「誰もいないのか?」
男はそのままいなくなった。
次の日も次の日もみんなは帰ってこない。ご飯は食べてしまった。明かりはつかない。水もない。静かで誰もいない。だけどここにいる。だって家族だもん。絶対帰ってくる。
でもお腹が空いて力が出ない。ふうと思い切りため息をつくと、体が急に軽くなった。そして空も飛べるくらい自由になった。
(みんなを探しに行こう)
四つ足で駆け出して、月夜に吠えた。
みんな、僕はここにいるよ。また一緒に暮らそうよ。
ファンタジー
公開:18/12/07 20:50
更新:18/12/07 23:16
家族の範囲

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

こちらで写真を紹介、ハガキにと販売しております!
https://minne.com/@sakoyama0705  - ハンドメイドマーケットminne(ミンネ)

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容