忘れさせ物

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4人で過ごす時間は陽気な春の縁側のように居心地がいい。でもそれだけじゃ満足できなくなってしまった。
スープと少しのおじやが残った鍋を片付けながらも内心は落ち着かない。
みんなの目を盗んで布石は打った。

片付け終え、毎度のように月曜からの講義がだるいとか駄弁りつつ、しばしくつろいだらみんなが帰っていく頃合いだ。

「んっこれお前のじゃない?」
悠人がコタツの中から目薬を拾って見せる。

22時を過ぎ終電を逃さないようみんなが帰り支度を始める。
「あれっ財布どこだろ」
守の財布はソファ上のクッションの影から見つかった。

「来る時貸した手袋って返してもらったっけ?」
コートを羽織りながら守が私に問いかける。
ごめんごめん、ととぼけながら私はコートのポケットから手袋を取り出し、惜しみながらも素知らぬふりで彼に手渡した。

残りひとつ。
お願い、あとひとつだけは。でないと口実がなくなっちゃう。
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公開:18/12/07 19:32

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