本の虫
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彼は自他共に認める本好きだった。
普段から鞄の中に本を5冊は持っていたし、毎日本屋に通って新刊をチェックしていた。僕が勤める図書館でもよく姿を見かけた。毎回30冊以上借りていたが、延滞したことは1度もなかった。
一度、彼に誘われ、家にお邪魔した。ワンルームの彼の家は、壁一面を覆うくらいの高さがある本棚に囲まれていた。更に、彼は読了した本の日付と感想を添えた栞まで挟んでいた。想像通りだった。僕と彼はひたすらに本について語り合ったのであった。
その時に彼は言っていた。「蝶の羽で装丁された珍しい本を買った。」と。
その後、彼から連絡がなかった。図書館でも、本屋でも見かけない。週に3回ほど来ていた連絡も途絶えてしまった。
不審に思った僕は彼の家を訪れた。インターホンを鳴らしても反応がない。ドアは鍵がかかっていた。
僕はドア窓を覗いた。その先には。
一心不乱に本を読み漁る蝶が、一羽。
普段から鞄の中に本を5冊は持っていたし、毎日本屋に通って新刊をチェックしていた。僕が勤める図書館でもよく姿を見かけた。毎回30冊以上借りていたが、延滞したことは1度もなかった。
一度、彼に誘われ、家にお邪魔した。ワンルームの彼の家は、壁一面を覆うくらいの高さがある本棚に囲まれていた。更に、彼は読了した本の日付と感想を添えた栞まで挟んでいた。想像通りだった。僕と彼はひたすらに本について語り合ったのであった。
その時に彼は言っていた。「蝶の羽で装丁された珍しい本を買った。」と。
その後、彼から連絡がなかった。図書館でも、本屋でも見かけない。週に3回ほど来ていた連絡も途絶えてしまった。
不審に思った僕は彼の家を訪れた。インターホンを鳴らしても反応がない。ドアは鍵がかかっていた。
僕はドア窓を覗いた。その先には。
一心不乱に本を読み漁る蝶が、一羽。
ホラー
公開:18/12/07 15:50
お初にお目にかかります。中埜寛(なかのひろ)と申します。
気が向いたときに気の向くままに書く予定です。
どうぞよろしくお願いします。
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