ファミリーツリー

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カズちゃんは今晩も夜勤だ。
クリスマスの日ぐらいはと思うけど、母子家庭の親がそんなわがまま言うと働き口がなくなることくらい私にもわかる。
名札にファミリーツリーと書かれた植木に目をやった。露店のお爺さんが売れなくて困っていたのと、昨晩お人好しのカズちゃんが買って来た。
私はクリスマスツリーをお願いしてたのに。
木は沢山の実をつけていた。
その時、一番下の実がふわりと光った。
すると目の前に私が現れた。びっくりした。私が私を見ている。次に光は一つ上の実に移り今度はカズちゃんが現れた。カズちゃんはお年寄りの口に丁寧にご飯を運んでいる。
光がその横の青い実に飛んだ。
写真でしか見たことがなかったお父さんが私の頭をやさしくなでた。
光は転々と上へ移動し、私のおばあちゃん、昔の着物や鎧、獣の皮を着た人、全裸のカップルが現れては消え、最後にお爺さんが現れた。
「誰?」
木の天辺の実が星のように瞬いた。
ファンタジー
公開:18/12/04 19:45
更新:18/12/12 19:08
ファミリツリー=家系図

杉野圭志

元・松山帖句です。

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