天邪鬼の素直(あまんじゃくのすなお)

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むかしむかしの昔話。
自分の声にしたい事と、逆しか言えない天邪鬼。
みんなに嫌われ、のけられて、独りぽっちの天邪鬼。
とうとう村を飛び出して、辿り着いたその先の、
色とりどりの花畑で出くわした、
お花屋さんの売り子ちゃん。
初めて天邪鬼に友達ができた。

上手く喋れなくても良いんだな。
たとえどんな自分でも、心に嘘さえなかったら。
好きになってくれる人はいる。
少しずつ、天邪鬼に友達が増えた。

そろそろ雪の降る頃に、天邪鬼は猟師に会った。
深い山のまた奥に、自分とよく似た『あまのじゃく』
話を聞いて。逢いたくて。でも。
ここを出てってしまったら、独りぽっちに逆戻り。
『行っておいで』と売り子ちゃんが言った。
『一緒に行こう』と猟師が言った。
『待ってるから』とみんなが言った。

春の桜が開く頃。猟師と旅支度の天邪鬼。
『絶対戻らないぞ』
泣いて笑って手を振って、弾む様に駆けて行ったとさ。
ファンタジー
公開:18/12/04 15:40
更新:18/12/05 23:27
こうだったら良いなのおとぎ話 続編 ※誰かさん作 「あまのじゃくはいいました」 より、二名カメオ出演

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

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