笑う門にゆた来たる

ここは北海道銘菓で有名な岩屋製菓『黒い愛人パーク』。そこには、何故か『真実の口』のオブジェがある。そいつは、時々ニタリと笑う。その瞬間に口の中に手を入れると、会いたい人に会えるという。そう、私はそんなジンクスを信じて待機中なのです。
「はよ笑ってや」
「いやや」
口に笑い茸を押し込んでやる。真実の口は痙攣して笑い出した。
「やった、これでゆたさんに会える！」
真実の口に、私は上半身ダイビングした。
「ゆたさん、こんにちは！」
しかしそこは沖縄の風景。そして見知らぬおばあさん。
「お前さん、ズルしたね」
「何奴！」
「ズルをしたやつには、このユタがお仕置きだよ」
「ユタ違い！そこの人助けて！」
「私はユダです」
「裏切り者！」
「ニライカナイに行っといで〜」
「死んじゃう！ゆたさん助けてー！」

本を読んでいたその人は、呼ばれた気がしたけれど、やっぱり気のせいだったから再び本を読み始めた。