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歩き続けると、市民グラウンドに出た。グラウンドを取り囲む金網が月の光を滑らせて、静かな結界をはっていた。
僕は、背後にくっきりとした影を引きずりながら、とぼとぼと月に向かっていた。僕は、その影を見るわけにはいかない。いつだって、僕は自分の影を見るのが、何より恐ろしかった。
遠くの山肌にある棚田の、不定型な編み目の一つ一つに月が写っていた。その区画は、微妙な光の階調に染まっていて、それが幾百幾千と折り重なって見える。その魅力的な景色に、僕は自分の影を一瞬忘れた。
路上で僕と影とが交錯する。
しまった! と思った時、僕の影は三つに分裂しかけていた。僕は、未だうまく動けない影たちを飛び越え、月に向かって走った。
いつしか、僕は愉快だった。理由など、どうでもよかった。
三つの影が凄まじい勢いで迫ってくる。僕は歓声を上げながら畦道を駆け上がり、棚田に写る月の一つ一つをくり抜いていった。
僕は、背後にくっきりとした影を引きずりながら、とぼとぼと月に向かっていた。僕は、その影を見るわけにはいかない。いつだって、僕は自分の影を見るのが、何より恐ろしかった。
遠くの山肌にある棚田の、不定型な編み目の一つ一つに月が写っていた。その区画は、微妙な光の階調に染まっていて、それが幾百幾千と折り重なって見える。その魅力的な景色に、僕は自分の影を一瞬忘れた。
路上で僕と影とが交錯する。
しまった! と思った時、僕の影は三つに分裂しかけていた。僕は、未だうまく動けない影たちを飛び越え、月に向かって走った。
いつしか、僕は愉快だった。理由など、どうでもよかった。
三つの影が凄まじい勢いで迫ってくる。僕は歓声を上げながら畦道を駆け上がり、棚田に写る月の一つ一つをくり抜いていった。
ファンタジー
公開:18/12/05 17:10
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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