旨すぎるラーメン

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「ヘイお待ちィーーー」
八時間待って出てきたラーメンは輝いて見えた。
前は一時間待てばよかったのに、口コミで人気が出るにつれて
夜明け前から並ばないと入れない店になってしまった。
古参としては、にわかファンを恨みたくなる。

それにしても、旨すぎる……。

「おい、いつまで待たせるんだよ!」「いい加減にして!」

店の入り口が騒がしい。
これだからにわかファンは困る。じっと待つことさえできないのだから。
僕は気にせず至福のラーメンタイムに戻った。

しかし様子がおかしい。
どうやらラーメンの供給がストップしているようだ。

店主のオヤジが叫んだ。
「やめたやめた! お前らばっかり旨そうに食いやがって。俺だって食いたい! 食う!」
そう言ってカウンターの中でラーメンを食べ始めた。

あれ以来、店が開くことは二度となかった。
固く閉ざされた店の奥から、今でもラーメンをすする音が聞こえるらしい。
その他
公開:18/12/02 18:20

UBEBE

おっさんになりましたが、夢は追い続けます

「小説は短く、人生は永く」

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