便利屋

俺の職業は便利屋。
殺人や恨み果たし以外の仕事なら何でも引き受ける。
時に、裏社会の情勢に首を突っ込み、対立する暴力団員に相手の弱み、欠点を金と引き換えに呈したりもする。
つまり、合法のラインで命をおとさないで、仕事を行なっている。
便利屋は世の中の悪事を除外する訳ではなく、便乗商売である。
金は金。愛は愛と割り切りながら依頼を引き受ける。
便利屋を近所にあるコンビニやファストフード店のような感覚で利用しているのであろう。ビジネスにおいて、軽いフットワークが無ければ、この儚い商売で共生していくは不可能である。

俺は今回の依頼を断った。
初見のその女性からの依頼が復讐代行だったからである。
彼氏の浮気が発覚し、問い詰めたところ、浮気相手が妊娠したとのことであった。

「私は彼と浮気相手を絶対に許しません。どんな手を使っても、私と同じ気持ちを味あわせて、地獄に突き落とします」