8
50
河川敷に捨てられていた僕を拾ってくれたのが母さんだ。
僕にとって母さんは一人だけなのに、ある日こんなことを言ってしまった。
「母さんが、本当の母さんだったらよかったのに」
「えっ……」
あのときの悲しそうな表情が忘れられない。
「本当の母さんって、なあに?」
その問いに僕は自棄になって吐き捨てた。
「だから、血のつながった母さんだよ!」
それ以来、母さんは夜になると机でごそごそしている。
気になってこっそり引出しを開けてみた。
出てきたのは一冊の本。
【すぐなれる! 吸血鬼入門】
「見た……わね?」
振り返ると母さんが立っていた。
「か、母さん」
有無を言わさず、僕の首筋に歯を突き立てた。
痛くはない。甘噛みだった。
噛み方がよかったのか僕は吸血鬼にはならなかった。
血のつながった、僕の本当の母さん。
僕の大好物のギョーザを作ろうとして、台所で失神してるあの人のことだよ。
僕にとって母さんは一人だけなのに、ある日こんなことを言ってしまった。
「母さんが、本当の母さんだったらよかったのに」
「えっ……」
あのときの悲しそうな表情が忘れられない。
「本当の母さんって、なあに?」
その問いに僕は自棄になって吐き捨てた。
「だから、血のつながった母さんだよ!」
それ以来、母さんは夜になると机でごそごそしている。
気になってこっそり引出しを開けてみた。
出てきたのは一冊の本。
【すぐなれる! 吸血鬼入門】
「見た……わね?」
振り返ると母さんが立っていた。
「か、母さん」
有無を言わさず、僕の首筋に歯を突き立てた。
痛くはない。甘噛みだった。
噛み方がよかったのか僕は吸血鬼にはならなかった。
血のつながった、僕の本当の母さん。
僕の大好物のギョーザを作ろうとして、台所で失神してるあの人のことだよ。
その他
公開:18/12/03 21:55
更新:18/12/03 21:58
更新:18/12/03 21:58
おっさんになりましたが、夢は追い続けます
「小説は短く、人生は永く」
ログインするとコメントを投稿できます