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昔から気弱だった弟の和也は、ある店の饅頭を食べるようになってから、人が変わったように身勝手な振る舞いをするようになった。
料理屋に行けば
「この店主は和食をダメにしている。考えを変えた方がいい」
といい、展覧会に行けば
「ここは赤だろう。全く惜しい絵だ」
といい出す。
どこでも我が物顔で演説ぶる和也にほとんどの客は素通りしていくけれど、明らかに顔を歪めている客もいる。それでも和也は気にせず、鼻高々と語り続けた。
見かねた俺は、和也を引きずって件の饅頭を売る店にかけ込み、店主へと詰め寄った。
「いや、うちの饅頭は悪いもんじゃないですよ。一かけ食えば、自信のない人の背中を押してくれるって代物です」
「じゃあどうして!」
「そうさねぇ、ま、食べ過ぎでしょう。饅頭に喰われちまったのかと」
「どういうことだ?」
「これは自信饅頭。食べ過ぎて過信しちまったら、自ずと頭も喰われて、慢心しか残らんのさ」
料理屋に行けば
「この店主は和食をダメにしている。考えを変えた方がいい」
といい、展覧会に行けば
「ここは赤だろう。全く惜しい絵だ」
といい出す。
どこでも我が物顔で演説ぶる和也にほとんどの客は素通りしていくけれど、明らかに顔を歪めている客もいる。それでも和也は気にせず、鼻高々と語り続けた。
見かねた俺は、和也を引きずって件の饅頭を売る店にかけ込み、店主へと詰め寄った。
「いや、うちの饅頭は悪いもんじゃないですよ。一かけ食えば、自信のない人の背中を押してくれるって代物です」
「じゃあどうして!」
「そうさねぇ、ま、食べ過ぎでしょう。饅頭に喰われちまったのかと」
「どういうことだ?」
「これは自信饅頭。食べ過ぎて過信しちまったら、自ずと頭も喰われて、慢心しか残らんのさ」
その他
公開:18/12/03 20:13
高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。
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