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「ガイシャの衣服に付着していたのは、鱗粉?」
「そうこれを見て。蝶の鱗粉にはそれぞれ色素があって、これは、アオスジアゲハに見られる青色のテトラピロール系色素。それで、アオスジアゲハはそこら辺の都立公園や街路樹でよく飛んでいる」
蝶の研究者は顕微鏡の接眼レンズから目を離し、テーブルの上に置いてあった資料を探偵の彼に手渡した。
「これは?」
「都内のアオスジアゲハの生息分布域をまとめた資料」
彼はそれを受け取る。
「犯人が都内に潜伏しているのは間違いない。私は蝶の研究が仕事だから、事件について口を出すことは出来ないけど、何としてでも犯人を見つけ出してくれ」
研究者は椅子にのけぞる。
「私は美しい蝶に情熱を注いでいたのに、まさか、殺人事件の手掛かりになるなんて、思ってもみなかった」
ミステリー・推理
公開:18/12/03 22:00

神代博志( グスク )









 

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