言刃研ぎ(ことばとぎ)

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殺し文句という言葉がある。
言葉のあやだけれど、人の発する言葉は、時に刃になって、人を傷つけるか知れない。突き刺さるか知れない。吐いた言葉が折れて撥ね返って、自分の喉も裂くか知れない。
一つ過てば、命を奪うより容易く、無慈悲に、心を魂を壊す事さえ出来得る。それだけ恐ろしく力あるものを、僕達は常に、意識的に無意識的に扱っている。
綺麗事だけで飾るまい。表現を武器に選んだ以上、自ら言刃を研ぎ澄まして用いる以上、あえて踏み込み、斬り付ける日もある。倒して奪い取らなければ、勝ち残れない場所もある。全てに勝利の星が降り注ぐはずもない事を、きっと誰もが知っている。

だとしても、僕は言葉を愛している。言葉の持つ魔力を畏れながら、どうしようもなく惹かれている。希望を見出している。だから、命の限りを燃やす様に、ありったけ曝け出す様に、泣き叫ぶ様に、今日も文字と音の狭間を生きている。これからも生きていく。
青春
公開:18/12/03 14:02
随筆への挑戦

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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