トリックオア東京メトロ

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10月最後の日曜。残業を終えて駅に向かうと、渋谷駅前は仮装したバカで溢れていた。
肩がぶつかる。靴が踏まれる。バッグがすれ違った奴の変な服に引っ掛かる。ようやく地上3階にある地下鉄銀座線のホームにたどり着くと、そこにも変な連中が大勢いた。
ため息をついて白線に並ぶと、酔っ払ったゾンビの集団が私の後ろに並んだ。場所を変えようかと思った途端、いきなり後ろのゾンビが私に抱きついてきた。
「トリックオア東京メトロ~?」
意味がわからない。
酒臭い。
重い。
もう我慢の限界だった。
こいつらの脳は既に腐っている。
私は振り向き、ゾンビの集団に笑いかけた。
「ハッピーハロウィーン」
急に素面に戻った所を見ると、私が本物だと気づいたのかもしれない。
が、もう遅い。
私が手をかざすと一瞬で彼らは爆散し、小さなゴミとなって渋谷に降り注いだ。

翌日、街の掃除が大変だったらしいが、そんなもの私の知ったことか。
ホラー
公開:18/11/30 21:06
スクー トリックオア東京メトロ

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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