吐く息は白く
5
6
朝6時。
娘が入院する病院に向かうため、車のエンジンをかける。車内が暖かくなるまで一服しようと、外に出た。
はぁ…
息が白い。
体温を間近に感じることができる、この季節が一番好きだ。
俺は、はぁーっと息を思い切り吐く。
「おはよ」
目の前の白息が消えると、彼女が両手にカップを持って現れた。
「どう?」
「ありがとう」
差し出されたホットココアを受けとる。
口に含むと、湯気が腹の底まで降りてきて、体中がポカポカしてきた。
「もう、一緒に行けなくてごめんね」
対照的に、彼女の息には色がなかった。彼女の温度を感じることができず、どうしようもなく寂寥感が募る。
「いいよ。あとは大丈夫」
虚勢だった。自信はない。でもそれしか言えなかった。
彼女はココアを口に含む。
「いってらっしゃい。あの子のこと、よろしくね」
笑顔で呟いた彼女の息は、確かに白く俺のメガネを曇らせた。
娘が入院する病院に向かうため、車のエンジンをかける。車内が暖かくなるまで一服しようと、外に出た。
はぁ…
息が白い。
体温を間近に感じることができる、この季節が一番好きだ。
俺は、はぁーっと息を思い切り吐く。
「おはよ」
目の前の白息が消えると、彼女が両手にカップを持って現れた。
「どう?」
「ありがとう」
差し出されたホットココアを受けとる。
口に含むと、湯気が腹の底まで降りてきて、体中がポカポカしてきた。
「もう、一緒に行けなくてごめんね」
対照的に、彼女の息には色がなかった。彼女の温度を感じることができず、どうしようもなく寂寥感が募る。
「いいよ。あとは大丈夫」
虚勢だった。自信はない。でもそれしか言えなかった。
彼女はココアを口に含む。
「いってらっしゃい。あの子のこと、よろしくね」
笑顔で呟いた彼女の息は、確かに白く俺のメガネを曇らせた。
恋愛
公開:18/11/30 20:48
マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。
100 サクラ
ログインするとコメントを投稿できます