吐く息は白く

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朝6時。

娘が入院する病院に向かうため、車のエンジンをかける。車内が暖かくなるまで一服しようと、外に出た。

はぁ…

息が白い。
体温を間近に感じることができる、この季節が一番好きだ。

俺は、はぁーっと息を思い切り吐く。

「おはよ」

目の前の白息が消えると、彼女が両手にカップを持って現れた。

「どう?」
「ありがとう」

差し出されたホットココアを受けとる。
口に含むと、湯気が腹の底まで降りてきて、体中がポカポカしてきた。

「もう、一緒に行けなくてごめんね」

対照的に、彼女の息には色がなかった。彼女の温度を感じることができず、どうしようもなく寂寥感が募る。

「いいよ。あとは大丈夫」

虚勢だった。自信はない。でもそれしか言えなかった。

彼女はココアを口に含む。

「いってらっしゃい。あの子のこと、よろしくね」

笑顔で呟いた彼女の息は、確かに白く俺のメガネを曇らせた。
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公開:18/11/30 20:48

イチフジ( 地球 )

マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。

100 サクラ

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