青空のひみつ

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私の家には代々伝わる青空がある。祖母も母も受け継いだ青い空は、折りたたんで持ち運び可能なコンパクトな青空だ。
その青空はなんでも恋愛に力を発揮するらしいのだが、全く恋愛に興味がない私にはあまりに必要のないものだった。
ある日、友人から恋愛の相談を受けた。私は試しに、その友人にコンパクト青空をかざして見ることにした。友人の頭上で青空は晴れ渡り表情も急に明るくなった。そして、友人の恋愛が上手くいったのは言うまでもない。やがて評判が評判を呼んで、私の元には沢山の恋愛相談が寄せられるようになった。
ある夏の夕方だった。幼なじみの真一に好意を寄せているという瞳が恋愛相談にやってきた。いつものように、コンパクト青空をかざすと、みるみる内に真っ暗な雨雲が立ちこめ、激しい雷とともに大粒の雨が降り注ぎ、瞳はずぶ濡れになる。
どうやら、それは持ち主の心を映す青空だったようだ。私はその時はじめて、真実を知った。
ファンタジー
公開:18/11/28 23:36

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