誰にも内緒のお話し

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「わたし下着は穿かない主義なの」
大学サークルの先輩は涼しげな顔でとんでもないことを言い放った。
勇気を出して食事に誘ったテーブルに飲みかけの水を噴き出しそうになる。
「へ…ぇ…いいんじゃないですか、別に」
「ふふっ嘘よ」
どうやら年下をからかうのが楽しいらしい。
「君、星は好き?」
「宇宙飛行士に憧れてました」
「今から見に行かない?」
「でも曇ってますよ」
「いい穴場があるの」
連れて行かれたのは夜景を見下ろす小山の展望台。
なるほど…地上の星
時折そのスカートの裾が夜風に揺れ、それが気になるのは先の冗談のせいで。
「ね、星を見せてあげるわ。座って」
腰を地に下ろした背後からの不意打ちで頭からスッポリとスカートに包まれた。
「ぅあ…」感嘆が口を突く。
全方位、無数に煌めく星辰の、そこは無限に広がる空間で。
「誰にも内緒よ」
言ったところで誰が信じる?
先輩のスカートの中が宇宙だなんて。
ファンタジー
公開:18/11/28 18:44
更新:18/11/28 21:53

Kato( 愛知県 )

ヘルシェイク矢野のことを考えてたりします
でも生粋の秦佐和子さん推しです

名作絵画ショートショートコンテスト
「探し物は北オーストリアのどこかに…」入選

働きたい会社ショートショートコンテスト
「チェアー効果」入選

ありがとうございます

 

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