桜を貴女に送ります

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俺は10年ぶりに会った従兄弟のリュウと喫煙所でタバコをふかしてた。
煙突からの煙を眺めながら。
「なんか、死んじゃったなぁ婆さん」
「そうっすねー」
「86ってスゲーな」
「俺は生きてないな、その歳まで」
「俺らは無理だろ。タバコ吸ってるし」
2人でクスッと笑う。リュウは笑うとえくぼが出る。歳は取ったが変わらない。
俺は灰皿にタバコを捨てる。
「しかし、婆さん100は軽く越せると思ったのになあー」
俺は伸びをしながら独り言のように言ってリュウを見た。
リュウは泣いていた。
ああ、ばあちゃん子だったっけ。
俺の目線に気づいて喪服の袖でぞんざいに目を拭い
「そういや、婆さん死ぬなら春がいいなって言ってたな」
と言った。

火葬場の入り口には大きな桜。少し散り始め、風で花びらが舞う。
青い空に煙突の白い煙が上に伸びて、あの白い雲と繋がってるようだ。
今日は小春日和、泣きっ面に春うららである。
その他
公開:18/11/29 23:00
更新:18/12/01 07:25
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さささ ゆゆ( 神奈川 )

最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。

「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。

なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。

でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。


Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

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