ゼラニウム

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白いゼラニウムの花が沢山咲く庭で、私は夜空に浮かぶブルームーンを眺めていた。それは、一月に二度現れる満月で、地球よりも青く澄んで輝いていた。
スウェーデン人の持つ蒼目にも似ていて、どこか懐かしい感じがした。
私は都会の喧騒に疲れ、この片田舎に引っ越してきて、生まれて初めてそれを見た。
いつも頑なに新鮮さを否定して、温故知新の言葉を頼りにしてきた私だが、それを見た瞬間、今までの人生が変わったように目をぱちくりさせた。
私は、神秘的な月にすっかりと入れ込んでしまった。
自分の部屋に戻り、机の引き出しから使用していなかったスケッチブックを取り出し、もう一度庭先に戻ると、濡れ縁に腰を下ろし、濃い鉛筆で月を描いた。
切なげで、どこか懐かしく、良い日々を思い出させてくれる、そんな感情を引き連れた夜でした。
その他
公開:18/11/29 23:00

神代博志( グスク )









 

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