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遊歩道を落葉を踏んで歩いていた。楓、銀杏、ブナなどの林を、紋白蝶が先導してくれた。吹き渡る風が、林全体をカサカサと揺らした。
ザッ! という音が聞こえた。
見れば、真っ白なネコが、クヌギの樹下に吹き溜まった落葉の山に、頭から飛び込んでは、飛びのいて、また、飛びついては、掻きまわしているのだった。
ザッ! ザッ! ザッ! 私は、その白猫の遊びを、しばらく眺めていた。
赤、黄、茶の枯葉の山が、白猫が飛び込むたびに、形と色とを変えていった。冬の低い太陽が、枯葉一枚一枚ごとの重なりに、深い陰影を落としている。
何度目かの突進の後、その枯葉の山から、一頭の蜆蝶がヒラヒラと舞い上がった。白猫の鼻先をかすめて飛び去る枯葉色の蝶に満足したかのように、白猫は顔を洗っていた。
その白猫は、いつのまにか、赤黄茶の斑を散らした三毛猫に変わっていたのだった。私はとても良い気分になって、帰途についた。
ザッ! という音が聞こえた。
見れば、真っ白なネコが、クヌギの樹下に吹き溜まった落葉の山に、頭から飛び込んでは、飛びのいて、また、飛びついては、掻きまわしているのだった。
ザッ! ザッ! ザッ! 私は、その白猫の遊びを、しばらく眺めていた。
赤、黄、茶の枯葉の山が、白猫が飛び込むたびに、形と色とを変えていった。冬の低い太陽が、枯葉一枚一枚ごとの重なりに、深い陰影を落としている。
何度目かの突進の後、その枯葉の山から、一頭の蜆蝶がヒラヒラと舞い上がった。白猫の鼻先をかすめて飛び去る枯葉色の蝶に満足したかのように、白猫は顔を洗っていた。
その白猫は、いつのまにか、赤黄茶の斑を散らした三毛猫に変わっていたのだった。私はとても良い気分になって、帰途についた。
ファンタジー
公開:18/11/29 07:30
宇祖田都子の話
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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