愛妻家な愛煙家

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煙が空へと延びている。
あの煙は何処まで昇るのか。

俺は、あの世まで届いていると思っている。

あの日、火葬場で見上げた煙も遥か空高くまで昇っていたから。
線香だって煙突みたいに立て、煙を立ち昇らせているのだ。
間違いない。

俺は、そう思っている。

そんな想いを胸にしながら、口から煙を吐き出す。
煙草を吸い始めたのは、あいつがいなくなってからだった。
毎日毎日、繰り返し線香を捧げている間にこんなことを考えるようになって。
気付けば、常連になったコンビニで煙草を買い込んでいた。
初めの一本目の煙に咽ながら、あいつの所まで行ったかなと空を見上げた。

だから今日も口から煙を立ち昇らせる。
空の向こうのあいつに届くように。おまえのことを心底愛しているよ、と。
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公開:18/11/26 23:37

普通のへいわじん

月の音色にて噂を聞きまして。
よろしくお願いいたします。

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