判決〜全て物語は大いなる嘘である〜

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検察鬼が言う。「この男の罪状は、嘘、それも度し難い大嘘つきの部類に入ります」
閻魔裁判長が「うむ」と短く頷く。
「待ってくれ。俺はそんな大嘘をついたことなんて無い!」
「静粛に!」閻魔がガツンと木槌を鳴らす。「罪人亡者の発言は許可しておらん!貴様は大叫喚地獄行きとする」
「…そんな」
地獄に落とされる覚えなどないのに、左右の腕を警備鬼に取られ、俺は絶望に項垂れた。
「異議あり!」歩み出たのは眼鏡タイトスーツの美女鬼。
「弁護鬼の発言を認める」
「この男は小説家です。確かに大嘘の創作話を万人に流布しましたが、反面その読者に幸福感や感動を与えたのも事実です」
「ふむ…読んだのか?」
「はい」
「ワシにも読ませろ。暫し休廷とする」

俺は仮牢獄で怯えながら頭を抱えていた。多くはないが鬼を悪者にした話もある。あれを読まれたら無間地獄行き確定だ。

再び閻魔法廷にて。
「判決を言い渡す!」
ゴクリ…
ファンタジー
公開:18/11/26 13:43
更新:18/11/26 15:41

Kato( 愛知県 )

ヘルシェイク矢野のことを考えてたりします
でも生粋の秦佐和子さん推しです

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ありがとうございます

 

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