シャボン玉

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マリさんは泥棒だ。
ある日、夕方にマリさんが帰ってきた。昼間から何かを盗んだらしい。
マリさんが持ち帰ったのはシャボン玉の破片だ。それを丁寧に繋ぎ合わせて、まあるいシャボン玉を作り直す。
シャボン玉には、シャボン玉を吹いた女の子の顔や、追いかける男の子、向こうでブランコに乗っている子だとか、公園の景色が逆さまに映っている。
マリさんは指先にシャボン玉をのせて覗き込む。
僕はシャボン玉に映る風景を見つめるうちに、シャボン玉をうまく吹けずに、石けん液を飲み込んでしまった時の口の苦さとか、ブランコから靴を飛ばしたことや滑り台のスリル、公園のにぎやかな声だとか、子どもの頃のことを思い出した。
マリさんは、何を思い出すのだろう。
ファンタジー
公開:18/11/26 06:48
更新:18/11/26 19:59

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