恋の予感【環状線の女】

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朝、フリーターの俺は、大阪環状線の内回りに乗りバイト先に向かう。
同じ時間、同じ車両にいつも妙な女が乗車してくる。スカートに時代遅れのルーズソックスを履いている。あれはルーズソックスではなく、ゴムが伸びきった靴下を履いているのかもしれない。

その女が声をかけてきた。

「いいよ。デートしてあげても」
「は?ごめんタイプじゃないねん」
「なんでウチのことばっか見てんの」
「俺、几帳面やから、気になんねん、その靴下」
「じゃあ、買ってよ」

どこか妹に似ていた。

売店で靴下を買っている俺は、何を考えているのか。
「ありがとう!めっちゃ嬉しい!」
その日から、会うたび「お兄ちゃん」と懐いてくる。

夜、その女が街で強面の男に絡まれていた。やめればいいのに彼女を庇った俺は、ボコボコにされのびた。

「ごめん。ウチと知りあったばかりに、ごめん……」

「ほっとかれへんやろ。お兄ちゃんなんやから」
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公開:18/11/27 17:54
スクー 内回りのルーズソックス

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。
お笑い系のショートショートを中心に書いていきたいと思いますので、よろしくです(^^)。

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