食べちゃえ!ばっくん!

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眠りたくない…。
ベッドの上で、睨み付けるように天井を見た。結局、いつの間にか眠ってしまうんだ。そうして夢の中で怖い奴らに追っかけられる。

でも大丈夫、今日は悪い夢を食べてくれるばっくんがいるから。僕はママが買ってくれた獏のぬいぐるみをギュッと抱きしめた。


「うわぁーーん」
僕が泣いてる。ほら、奴らが追いかけてくる。捕まったらガブリと食べられちゃうよ。
「うわぁーん、ばっくん」
すると象みたいな鼻をして、熊みたいな体で、虎みたいな足で、牛みたいな尻尾の、サイみたいな目をしたヤツが出てきた。
「ばっくんなの?」
そいつはムシャムシャと怖い奴らを食べ始めた。悪い夢を食べてくれてるんだ。奴らを食べ尽くしたそいつは、僕の前にやってきた。
「ばっくん」
手を伸ばすと、バクリと僕の腕を食べた。
「いやだ違う、僕は悪い夢じゃな」

ばっくんは悪い夢をバリバリバリと噛み砕くと、ゴックンと飲み込んだ。
その他
公開:18/11/27 14:27

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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