Justダンス!!前編

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「最後の力を、君のために使います。」そう言って突然君が私の手を取り踊り出す。無理、運動音痴なの、と抵抗する私を気に止めず、いつの間に音楽も聴こえる。君に引かれるままリズムに乗る。やけくそで、めちゃくちゃに腕を降って、手と足同じステップ踏んで。端から見ると馬鹿みたいだけど、だんだん楽しく可笑しくなって。

笑いすぎて、その顔が恥ずかしくて手で隠した。大丈夫、と君はそっと顔から手をどかす。ちゃんと見てて下さい。君はそう言って私の腰を掴んで持ち上げた。

突如米粒立つ炊飯器の中。私達がくるくる回る間に米は歌い、お釜に美声を響かせた。次にハードカバー本の上でタップダンス。そのうち物語の文字が口を開けて怒り出したので、ぴょんと飛んで、場所移動。箸置きの上、お箸の平均台を君と手を取り渡る。小走りしたり、繋いだ手を押し合ってみたり。あーもう、君のせいで落ちちゃった。まだまだ、と君はまた手を引き外へ出る。
公開:18/11/27 12:42
更新:18/11/28 22:01

綿津実

自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。

110.泡顔

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