スメル・スマイル

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化粧品の調香師をしている彼から、職場に呼ばれた。
硝子張りのクリーンルーム。遠い白衣の背中。最初のデートでも見た。立ち入り禁止の外は神経質に無臭で、ぽつんと座る私は、化粧箱に添えた造花みたいだった。

『3原色って分かる?光の3原色、色の3原色。3つの割合で、どんな色も光も作れる』
『全部混ぜると、光は白に。色は黒になる』
『匂いにもあるんだ。あらゆる香りを合成出来る3原香(さんげんこう)。2つまでは突き止めてて、僕が研究してるのは、最後の1つ』

2つが何か訊いても、企業秘密って教えてくれない。数値化された香り?全然素敵じゃない。3番目の原香なんか、永遠に探せなければ良いと思ってた。

「ごめん、お待たせ!」
満開の花の様な顔。ついに辿り着いたのね。
「ううん、大丈夫よ」
この笑顔はお別れの香り。貴方がくれた残り香で、最後の祝福を。
夢の結末は涙の香り。空っぽになった香水瓶と同じ形だわ。
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公開:19/02/19 17:53
更新:19/02/19 20:32
※3原香は創作です……。

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。

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君に伝えたかったんだ。

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